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2013年11月10日日曜日

旧石器時代の野川流域から見る

(後期)旧石器時代に地元野川流域に残された石器や黒曜石を通して、日本人類の起源を語る講演があり聴講した。講演タイトルは、「旧石器時代の日本列島 - 野川流域から日本人類史の起源を考える」で、講師は安蒜政雄(あんびるまさお)明治大学教授である。

6万年前にアフリカから世界に拡散した私たちの祖先は、4~3万年前に日本列島に至ったといわれていることから、野川流域の旧石器人(3.5万年前~1.5万年前までの間)は相当に古いひとびとといえるようだ。

この4万年前(日本列島到着)と3.5万年前(野川流域定着)を比べると、5,000年の差しかないように考えてしまうが、つまり私たちの2,000年の歴史と比べて時間オーダーが極端に大きな時の流れであり、しかも証拠は石器しかない。いろいろとイメージが膨らんでしまい、素人には楽しいことだが。

関東地方を含めて日本は火山国のため、旧石器時代の証拠物は石器しか残ってない。他の有機物は火山灰地により一切溶けてしまっている。そんな中で、石器が見つかった地層に依ったり、石器の分布に依ったりして、旧石器時代の集落や人口の規模を想定されるという・・・ただし、生活や移動がどうであったか検証が必要。
また、産地がある程度限定される石材の黒曜石の地域間移動が分かっており、ひとびとの交流が想像されるという。さらに、野川流域の石器(石斧)、黒曜石を使った複数の特性から、他の周辺地域と比べて日本独自の性格を持っているという。

発見された遺物から歴史上の想定が語られたが・・・最後にいろいろな視点や解釈も含めて、会場とのQAがあった。
それらを聞いて、確かに2,000年前の歴史でさえ物証は完全ではないのに、旧石器時代の石斧など限られた遺物から、3.5万年前~1.5万年前までの2万年の間の歴史を語るのは容易なことではないだろうと感じた。

歴史は時間だけでなく、空間の流れでもある。会場で求めた、安蒜政雄氏の著書「旧石器時代の知恵」を読んで復習してみよう。

常々思うことがある。歴史の中で個人は小さいけれど、仮に4万年前の私の祖先が子孫を残す前に、何かのことで亡くなっていたら、私は今いないのだ。命は連鎖する。それも際どい偶然のおかげで。