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2014年4月11日金曜日

イ・ソンヒの音楽の年輪 「Serendipity」、「その中であなたに出会って」

そろそろ、イ・ソンヒの15集アルバム「Serendipity」を機会に、彼女の音楽史上の位置づけについて求めたくなったところ、音楽評論家イム・ジンモを主軸に運営されている大衆音楽のウェブマガジン「IZM」(2014年4月、投稿者ソ・スングン)に、次のようにクールな論説が掲載されているのを知った。(IZM>ALBUM>K-POP)
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 イ・ソンヒ 「Serendipity」

・”思いがけない喜び”という題名がイ・ソンヒの音楽のキャリアを象徴する。1984年に、「MBC江辺歌謡祭」で始まった彼女の歌手活動は、突然訪れた喜びであり、人生の転換点であったし、彼女は1990年代初めまで、大韓民国を代表する女性歌手として登板して、大衆音楽の歴史の中心に立った。イ・ソンヒの15枚目のアルバム「Serendipity」は、デビュー30年を記念して祝う作品で、年輪と経験で、多様な音楽形式を解きほぐして抱きしめ、新しい試みへの不安をぬぐい去った。

・ロック、ブリティッシュ・ポップ、ラテン、ジャズ、ヒップホップ、R&B、バラードなど、色々なスタイルで組まれた「Serendipity」は、「最もイ・ソンヒらしくない」作品だ。好き嫌いが分かれた特有の過度のバイブレーションは薄められたが、むしろ強弱の調節を通じた配分と調整でアルバムを平板に、均等にアイロンがけした。マライア・キャリーが、2005年に公開した「Emancipation Of Mimi」で誇示のためボーカルを抑制したように、イ・ソンヒも「Serendipity」は、内に静めて、時には噴出して、アルバムをもの柔らかく調子よく丸く整えた。古木に成長したイ・ソンヒは、様々なスタイルを観照して包容し、自身の歌の中に抱え込んだのだ。

・プロディジーとエイミー・ワインハウスなどのアルバムをマスタリングした、スチュアート・ホークスは、イ・ソンヒの声と楽器の音を融和させ、透き通る美しい声を込めた。
- タンゴとフォーク、そしてジャズのスキャットが似合う「街の眺め(거리 구경)」で披露している各楽器の音の黄金率は、今回のアルバムに多くの真心と努力が入り込んでいることをのぞかせる重要なトラックだ。
- 英国のモダン・ロックバンド スタイルの「Someday」から変化は始める。
- イダンヨプチャギ(ダブル・キック)が作曲して、ヒップホップグループ・トロイのメンバーのカントが参加したR&Bナンバー「町をひと巡り(동네 한바퀴)」と、パク・グンテが作った「その中であなたに出会って(그 중에 그대를 만나)」を通じて、イ・ソンヒは”今”という現在性を確保したし、
- エレクトリックその他が直線的なボーカルを補佐する「夢(꿈)」は、ケリー・クラークソンとユナの中間地点に位置するロックンロール・トラックで、溌刺とした「綿菓子(솜사탕)」と共に懐かしかった時代を追憶して、成功した30年を祝っている。
- 想念を刺激する、夕焼けが浮ぶ「自分への手紙(나에게 주는 편지)」はブラシ・ドラムとトランペット演奏が曲の雰囲気と歌詞の内容を感情移入させて、アルバムの中心トラックに正座する。
- 反面、奇跡の歌がオーバーラップされる「私は行く(나는 간다)」の後半部に爆発する歌唱は、相変らずイ・ソンヒだ。

全11曲が入ったアルバムのうちで、9曲を作曲したイ・ソンヒは「Serendipity」を通じて、単なる歌手から、曲を作って歌を歌うシンガーソングライターの名刺を明確に印刷した30年という物理的な時間は、彼女を作家主義アーティストに導いた熟成と発酵の期間だった

・相変わらず短い髪と丸いメガネのイ・ソンヒが作った音楽の年輪には、彼女が国を代表する女性歌手と記憶され得る数多くの過程と選択が溶け合っている。そして、その選択はいつも、イ・ソンヒを最高の席に導いた。15枚目のアルバム「Serendipity」、やはりイ・ソンヒに音楽人生という方程式で最高の変数として作用するだろう。

- 収録曲 -
1.Someday
2.동네 한바퀴 (꽃다운나이..(Feat.カント))
3.너를 만나다
4.그 중에 그대를 만나   ← アルバムのタイトル曲
5.거리 구경
6.꿈
7.이제야
8.나에게 주는 편지
9.이뻐 이뻐
10. 솜사탕
11. 나는 간다
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(追記)
同じく、ウェブマガジン「IZM」には、イ・ソンヒのタイトル曲「その中であなたに出会って(그 중에 그대를 만나)」についての論評(投稿イ・ジョンミン、2014年4月)がある。
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新譜11曲中、9曲を直接作曲したにもかかわらず、タイトル曲の座を他に譲ったのは、それだけ大衆性をあきらめないという意図と解釈される。さらに、この重い責任をヒットメーカーのパク・グンテ(作曲)とキム・イナ(作詞)に任せたのだから、聞く前から新たな感動への期待が膨らむ。

・チョー・ヨンピル、イ・スンチョル、ナミなど復帰した歌手の共通点は、トレンドを広げて出すということだったとすれば、彼女は驚くほど過去へ回帰した。音楽作業中の歌手の声を聞いて、スタイルを完成していくパク・グンテの方式を思い出してみると、イ・ソンヒという歌手には大勢よりは正統がもっと似合うと判断したものだ。

・アプローチは良い。少し古く聞こえる唱法に映る可能性があるが、皆が電子音楽とグループに執着した時期に、このような登場はさわやかだ。しかし、歌がチャートに登ることができないのは、曲の重みが代表に立てるには不足だからだ。収録曲に相応しい歌が、タイトルに出てきた。
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