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2015年8月8日土曜日

(資料) 「外華内貧」のK-POP

特有の音楽事務所のタレント養成システムとオーディション番組での選抜、歌って踊るタレントグループ歌手と歌を主体にした歌手など、韓国音楽界には様々な対比がある。その実態について、朝鮮日報日本語版の記事、「【コラム】「外華内貧」のK-POP」(8/8、権承俊(クォン・スンジュン)記者)は、歌手が本来の歌に専念する場所が少ないことについて、下記のように伝えている。

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(資料)韓国アイドルグループ歌手の今後の動向  2012年11月21日
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(資料)韓国オーディションの歴史  2011年3月2日

パティ・キム、イ・ミジャなどにつながる、歌を歌い聞かせる本来の意味での歌手をイ・ソンヒに見るものにとって、今様の次々と、しかもグループで送り出すスタイルに馴染めない。歳のせいかもしれないけどね。それにしても、タレント養成システムは投資がかかり、次々生産しなければならないだろう。大変なことだ。

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・韓国のポップス界では最近、「イ・スマンとヤン・ヒョンソク(共に韓国大手芸能プロダクションのトップ)の上にキム・テホがいる」という話がよく出る。キム・テホ・プロデューサーが演出するバラエティー番組『無限挑戦(무한도전)』(MBC)が2年に1回、歌手にオファーを出して開催する「無限挑戦歌謡祭」出演すると、音楽配信チャートやポータルサイトの検索ワードランキングでたちまち上位になるからだ。今回は、バンドhyukohとシンガーソングライターZion.Tがキム・プロデューサーの「お眼鏡」にかなった。音楽配信チャートで50位圏外だった2組の歌は、放送後に1-5位を独占した。「K-POP界で最も権威があるのは『無限挑戦』」と言われるわけだ

・hyukohとZion.Tは、ディープな音楽ファンの間では高い評価を得ていたが、一般の人々には無名のミュージシャンだった。彼らを一気にK-POP界で最も注目されるスターに引き上げたのが音楽番組ではなく、バラエティー番組だったというのが少々引っ掛かる。

地上波の音楽番組が一般大衆に対し良い音楽を広く紹介するという本来の趣旨を失って久しい1時間の番組放送中、アイドルが歌い踊り笑顔を振りまくのが最近の音楽番組の全てだ。地上波3局とも同じアイドルたちが出てくるので、ほかの曲が聞きたい視聴者は見るチャンネルがない。その「すき」を突いてきたのがキム・プロデューサーのような、目の付け所が鋭い演出家たちだ。今回も『無限挑戦』では、パク・ジニョン(J・Y・Park)、G-DRADON、IU(アイユー)といったスターたちと共に、hyukohとZion.Tにオファーを出した。G-DRAGONを見ようと思って『無限挑戦』にチャンネルを合わせた視聴者が、hyukohの曲を聞いて興味を持ったのだ。大手芸能事務所に所属するアイドルではないミュージシャンたちが、音楽番組でなく『無限挑戦』に出るのは、今やK-POP界でおなじみの光景になった結局、音楽番組には彼らの居場所がないのだ

問題は、バラエティーはあくまでもバラエティーということだ。人気バラエティー番組『日曜日、日曜日の夜に』(MBC)の「覆面歌王(복면가왕)」コーナーに出てくる歌手は奇妙な覆面をかぶり、「化学兵器室クレオパトラ」のような変なニックネームで呼ばれている。繊細な感情表現が必要なバラードを歌っても、覆面をかぶっているため全く感情移入できない。「自分の正体を気付かれてはならない」という番組ルールのため、歌手は本来の歌い方を変に崩して歌う。バラエティー番組では結局、面白おかしく笑えるかどうかが優先されるので、こうしたことは全て甘んじて受け入れるしかないケーブルテレビチャンネルMnet『スーパースターK』のようなスター発掘番組も同じだ。歌の実力よりもさまざまな事情を抱えた人の方が注目される優勝しても一発屋に終わり、次のシリーズに入るとすぐに忘れ去られる愚直なまでに良い音楽を作り、直球で勝負するミュージシャンは貧しくて孤独なだけだ

・こうしたいびつな構造の責任は全員にある。<音楽番組プロデューサー>は、変化や革新を拒み、<バラエティー番組プロデューサー>は、視聴率を口実にミュージシャンを連れてきてショーをさせる。<ミュージシャン>は、一般の人々に知ってもらいたいという切実な思いからこれを受け入れ、<一般の人々(大衆)>、はただ面白がるだけだ。これ正常だと思う人はほとんどいないはずだが、変えようと思って立ち上がる人もいない。「K-POPだ」、「韓流だ」とこれまで以上に華やかさをアピールするK-POP(韓国大衆音楽)界が直面している「外華内貧(外見は華やかだが中身がないこと)」の現実だ
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