▼▼ 青字下線付語句のリンク先は、マウス右クリック+<新しいタブ>で進んでください。(本ブログ関連)の最下段に「次の投稿ホーム」があるとき次ページがあります。▼▼

2015年12月30日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 聖夜

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/23)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「聖夜(クリスマス)」に関連した3曲を紹介した。

始めに、クリスマスと冬至の意味について次のように説明された。
・昨日(12/22)、一年で昼が最も短い「冬至」だった。昔、太陽に依存した暮らしの人々に冬至は大きな意味があった。やがて昼が長くなり、明るく温かくなる。草木、動物、人々も豊かな春を目指す。東洋西洋とも、冬至は重要な日だ。キリスト生誕日のクリスマスが冬至頃なのも、決して偶然でないだろう。救世主がこの世に生まれ、人々が光の中に生きる意が含まれる。

クリスマス・キャロルを韓国伝統楽器と演奏する「雪が降る日の日記(눈 내린 날의 일기)」を聴く。今様の楽しいメドレー。

次に、クリスマス行事と伝統的遊び「カンガンスルレ강강술래)」について次のように紹介された。
・クリスマスは宗教や民族を越えて、多くの人々が楽しむ日だ。昔は12月になると、クリスマスツリーを飾り、クリスマスキャロルが聞こえて、寒い冬も温かく感じられた。最近、クリスマスキャロルが、著作権の問題で商店街で流せなくなり、人々の音楽の好みも変わった。クリスマスキャロルは、西欧中世の祝祭に由来する。輪になって踊る風習があり、みなで歌うには、歌詞やリズムが単純で、繰り返し歌ったのがキャロルに根付いたようだ。韓国に、女性が手をつなぎ丸く輪を作り、回りながら歌い踊る、伝統的な「カンガンスルレ」の遊びがあって、ダンスに似ている。

▼ 「カンガンスルレ」の歌を聴く。小正月にもあるという月夜の遊び、南の風がするよう。

最後に、朴東鎭(박동진、1916年~2003年)の創作パンソリ「イエス伝(예수전)」成立のいきさつを次のように紹介された。
・伝統音楽には、仏教に関連したものは多いが、キリスト教のものは余りなく、稀に貴重なものもある。朴東鎭のパンソリ「イエス伝」もそのひとつで、曲成立を回想している。1972年、草洞教会の趙香祿(조향록)牧師と東亜放送の作家朱泰益(주태익)の訪問があり、放送台本を元に、イエスの話のパンソリ化を頼まれた。一旦断ったものの手がける。ラジオが人気あった時代で、台本はイエス誕生から復活までの内容を含んだ。台本と聖書で、キリスト教の知識を身に付け、4時間に渡る公演をした。朴東鎭は後にクリスチャンとなる。

▼ 新パンソリ「イエス伝」中から、「イエスが馬小屋で誕生(예수 마구간에서 탄생)」の曲を聴く。語りはパンソリだ。

イ・ソンヒの「愛してます 母さん」

イ・ソンヒのキャロルアルバム「私たちの物語(우리들의 이야기)」(1991年)に所収の「愛してます 母さん(사랑해요 엄마)」(作詞キム・ミンジョン、作曲ソン・シヒョン、編曲ピョン・ソンリョン/ユ・チヨン)は、情感あふれる美しい曲だ。普通、親子をほほえましく描くことが多いのに比べて、想いを確かめるように歌い上げる。心に母の姿が浮ぶ、まさに賛歌である。


愛してます 母さん、母さんのその微笑を

愛してます 母さん、母さんのそのすべてを

* 隠れたその笑顔の裏に 麗しい皺(しわ)の刻まれたその顔

私にくださった その愛で世界を愛します

愛してます 愛してます

母さんの顔だけ思い浮かべれば 私の心は平和です

(* 以下繰り返し)


音楽サイトIZMの記事「家族として記憶されるわたしたちの歌謡」に再掲されている、「イ・ソンヒ - 『愛してます 母さん』(1991年)」(2011/05 キム・ジンソン)は、この歌について次のように紹介している。
-----------------------------------------------
子どもに向けた<母さん>の愛は、「アンリミテッド」、それこそ無制限だ。厳密に父情とは別の次元の母情. 本来一体から分離して生まれ出た子どもは、<母さん>に(とって)別の分身と等しい。新しい生命を懐妊し、世界の光を見られるようにする<母さん>の存在はそれだけ偉大だ。イ・ソンヒの「愛してます 母さん」は、その偉大な愛に対してただ<母さん>のすべてを愛しているという歌唱曲といえるだろう。

シンセサイザーを主な楽器として、ピアノ、アコースティック・ギター、フルート、ドラム、歌声などを結合した伴奏は典型的な歌謡の感じそのままだ。イ・ソンヒの歌唱は、ゴスペルのように厳粛で敬けんな感じの伝達力で迫ってくる。初めは滑らかに、次第に強い訴える力で<母さん>に対する愛を歌う。「愛してます」という言葉それ以上の何が必要だろうか。常に近くにいながらも、容易に呼んであげられない言葉、「愛してます、母さん」をこの歌で直接伝えてみるのも遅くないだろう。

「隠れた微笑の後にうるわしい皺の刻まれたその顔、私にくださったその愛で世界を愛します。愛してます、愛してます、母さんの顔だけ思い浮かべれば私の心は平和です」、クライマックスという後半部に達すれば、心が涙声になる感動を受けることになるだろう。サウンド的な面で、昔ながらの感性が豊かだけれど清純ながらも生一本のイ・ソンヒのボーカル・パワーをアピールする力は実にすごい。チェ・ブラムとチョン・ヨジンのデュエットで有名な「パパの言葉(아빠의 말씀)」(Anthony Quinn  & Charlieの「Life itself will let you know」の翻案曲)と並んで、他の一方で親子の情を交わす代表的な賛歌(さんか)である。
-----------------------------------------------


(Youtubeに登録のKoreanMusicSubsに感謝)